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法 人 税 の 基 礎

このページでは、各計算項目の基礎をご紹介しています。

【租税公課・納税充当金】
 納税充当金は、当期に確定した法人税、住民税、事業税などの税金を翌期の支払いに充てるために計上する一種未払金の計上のようなものです。会計学の世界では、税金を費用と考える説と利益分配と考える説がありますので、損益計算書の末尾の税引前当期利益と税引後当期利益の間に計上されます。
 一般的に損益計算書末尾に記載される『法人税・住民税等充当額』がその繰入額として認識されます。


【設定】

 納税充当金の繰入時の仕訳は下記のような勘定科目で仕訳されるのが一般的です。書籍等によって科目名が違っていたりしますし、税務上の取り扱いも色々とあります。

[会計上の書籍等でよく使われる仕訳]
(法人税・住民税等充当額)×××(法人税等未払額)×××

[税務上の書籍等でよく使われる仕訳]
(納税充当金繰入)×××(納税充当金)×××

※文献によって若干の差異があることがありますが、通常上記の仕訳はみな同じ意味のことを指します。

 税務上申告納税方式の租税については、申告書を提出した事業年度に債務が確定したと認識しますので、上記の仕訳を会社が行ったときには下記の税務調整が必要となります。

損金計上納税充当金(加〜留)



【取り崩し】

 納税充当金は通常、会社がその設定目的となる租税を納付したとき、その他の場合に取り崩しを行います。

[取り崩し時の仕訳]
その目的により下記のような様々な取り崩しの仕訳があります。

(納税充当金)×××(現金)×××

(納税充当金)×××(納税充当金戻入益)×××

(納税充当金)×××(仮払税金)×××

 納税充当金を取り崩した場合には、税務上はその取り崩しをしたという事実(上記仕訳の借り方の事実)について全て次のような仕訳が行われたと考えます。

(納税充当金)×××(納税充当金戻入益)×××

 取り崩しをした納税充当金は、既に前期に加算調整をしていますので、二重に収益が計上されてしまうこととなること等の理由から、税務調整が必要となります。

 納税充当金から支出した事業税等の額(減〜留)

 このとき、その取り崩しをした納税充当金が、法人税や住民税などの納付を目的として取り崩したものである場合等には、税務上では次のような仕訳が行われたと考えます。

(納税充当金)1,000円(納税充当金戻入益)1,000円

(租税公課・法人税)500円(現金)1,000円
(租税公課・住民税)300円
(租税公課・事業税)200円

上記の場合、

納税充当金の戻入益に対しては、1,000円(減〜留)の税務調整をします。

法人税の損金経理部分に対しては、500円(加〜留)の税務調整をします。

住民税の損金経理部分に対しては、300円(加〜留)の税務調整をします。

これは総額によって処理をした例となりますが、簡便的に下記の処理をする方法もあります。

(減〜留)と(加〜留)を相殺して、差額のみを調整します。

つまり、

 納税充当金から支出した事業税等の額 200円(減〜留)

 1,000円−500円−300円=200円

これは純額によって処理をした例となりますが、試験や実務では一般的にこちらの方法で記載するのが慣行となっています。

この場合の計算式は次のように計算をして納税充当金から支出した事業税等の額(減〜留)を算出します。

(取り崩した納税充当金)−(その取り崩しに充てた法人税、住民税の本税)


※適切でない表現や間違いに気づいた場合その他の場合にはお断り無く修正いたします。

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