法 人 税 の 基 礎 このページでは、各計算項目の基礎をご紹介しています。 |
【加算・減算と法人税の関係〜税まめ】 |
▼加算・減算って何? 法人税の本などを読んでいると、『加算』『減算』っていう言葉や、 『損金不算入』なんて言葉がよく出てきます。 こういう言葉の意味を理解していないと、なかなかそれがどういう ことになるのか?などが理解できないものです。 今回はそういった言葉についてのお話です。 ▼法人税の体系 法人税は、法人(会社)の『もうけ』に対して課税される税金です。 売上から費用を差し引いて『もうけ』を算出します。 そして、この『もうけ』に対して22%や30%などの税率が課されて、 納付する法人税を算出します。 体系を押さえるには、まず別表四という書式を理解しなければいけ ません。 ▼別表四の計算 別表四は法人税の税率を乗じる前の金額『もうけ』を計算する書式 です。 法人税上のもうけを『所得金額』といいます。 単純に会社上のもうけ(売上−費用)を表す言葉として、 『当期純利益』 という言葉がありますが、 この当期純利益は会社計算によって、導き出した会社の『もうけ』 のことを指します。 例えば、会社上の計算では『交際費』については全額費用として認 識します。つまり『売上』という収益の額から『交際費』である費 用の額を差し引いて『当期純利益』が算出されています。 しかし法人税では、ある理由があって期末資本金1億円超の法人に あっては『交際費』は費用として認められていません。 そこで、『交際費』が差し引かれた会社上の『当期純利益』を費用 として認めない『税務調整』を行います。 つまり『当期純利益』に税務上認められなかった『交際費』を加算 します。 ・会社上の計算 売上10,000円−交際費1,000円−他費用2,000円=当期純利益7,000円 ・税務上の計算(別表四) 当期純利益7,000円+交際費1,000円=8,000円 税務上の計算では、交際費は費用として認められませんので、会社上 の計算と同じようにしたとしたならば、 売上10,000円−他費用2,000円=利益8,000円 となりますね? 法人税の別表四の計算では上記のように、 会社上の『当期純利益』に加算・減算をして『所得金額』を導き出し ます。 ▼別表一の計算 そして別表四により算出した『所得金額』に税率30%(一定の部分は 22%)を乗じて法人税の計算をしていきます。 8,000円×30%=2,400円 ▼損金不算入の意味 上記の場合に留意して欲しいことは、 会社上の金額と税務上の金額に違いが生じているのは『交際費』です ね。 会社上費用として認められた『交際費』は税務上は『費用』として 認められませんでした。 法人税では費用として認められる金額のことを『損金』といいます。 ですから、費用として認識されなかった交際費は『損金』に 『算入』されなかったという意味で『損金不算入』と表現されます。 また、この『交際費』は費用として認識できない費用ですから、 この交際費を『否認』するという言い方をすることもあります。 どちらも、当期純利益に『加算』して『所得金額』を構成する要素と なっているということを表す言葉の意味になります。 この『損金不算入』という言葉は法人税の専門用語ですが、これ以外 にも3つあります。全てで4つの調整が存在します。 『損金不算入』=損金に算入しないという意味(加算調整) 『益金不算入』=益金に算入しないという意味(減算調整) 『損金算入』=損金に算入するという意味(減算調整) 『益金算入』=益金に算入するという意味(加算調整) ▼加算調整は課税 上記の税務調整の4種類のうち、2種類が加算調整するもの、後の2 種類が減算調整するものとなっています。 加算調整するものは、 会社上の当期純利益に加算調整して所得金額を構成するわけですから、 その加算調整をした分だけ、所得金額が多くなります。 上記の例でいうと、交際費を損金不算入にしなかった場合には、 利益が7,000円(当期純利益)となりますが、それを損金不算入にした 場合には、利益が8,000円になります。 つまり、損金不算入(加算調整)にした1,000円部分が、多くなってい ます。 結論を言うと、税務上加算調整された1,000円分、法人税が高くなって いるということになります。 交際費が費用として認められた場合の法人税額 7,000円×30%=2,100円 交際費を損金不算入とした場合の法人税額 8,000円×30%=2,400円 上記の差額は、 2,400円−2,100円=300円 損金不算入になった1,000円の法人税額 1,000円×30%=300円 ▼否認された・・ 何かをしたことに対して「これは否認された・・・」 って言葉を耳にされることもあると思います。 つまり、20,000,000円が否認されれば、単純計算でも、 20,000,000円×30%=6,000,000円 の法人税が高くなった・・という意味になるのです。 ▼損金になる・・ 逆に、役員報酬として10,000,000円が損金として認められる・・ というようなときには、 10,000,000円×30%=3,000,000円 の法人税が少なくなる・・という意味になります。 ▼マメ知識【加算・減算のその先の意味】 損金不算入・益金算入・加算・否認という税務調整に関する言葉は、 その金額に対して30%の法人税が多くなるということ。 損金算入・益金不算入・減算・認容・認定損という税務調整に関する言葉は、 その金額に対して30%の法人税が少なくなるということ。 ※適切でない表現や間違いに気づいた場合その他の場合にはお断り無く修正いたします。 |
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