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子育てしながら勉強するお母さんのための知恵袋

目を閉じる努力・目玉の鬼六(3歳〜)

 これは今年4歳になる太郎くんのお話です。

 太郎くんは、毎日夜の8時に寝ます。(○○ちゃんと同じです。)

 太郎くんはよい子ですから、いつもは8時に電気を消してちゃんと寝ますが、今日はどうしても寝られません。どうして寝られないのかと言うと、今日は大好きなお父さんのお仕事がお休みだったので、プールへ連れて行ってもらいました。プールではパパやママといっぱい泳いですごく楽しかったです。今日は暑かったのでアイスクリームも食べました。プールからの帰り道、パパの運転する車に揺られているうちに眠くなり、お昼寝をいっぱいしました。


 太郎くんは、車の中でお昼寝をしているときにこんな夢を見ました。


 『ひた〜 ひた〜 ひた〜』

 『ど〜こかに、子供の綺麗な眼は落ちていないかな〜。』

 『ひた〜 ひた〜 ひた〜』というのは足音です。濡れたはだしの足で ゆっくり ゆっくり 歩く音がしています。

 『ど〜こかに、子供の綺麗な眼は落ちていないかな〜。』

 どんよりとした細く悲しいうた声が聞こえてきます。


 この声の持ち主は『目玉の鬼六』というかわいそうな鬼の声です。

 鬼六は子供が大好きです。特に子供の目は、生まれてから数年しか使っていない、純粋な綺麗な目をしていますので大好きです。

 鬼六は夜にならないとその姿が見えません。大人には夜であってもその姿は見えず、子供にしか見えません。

 鬼六は夜の街でなにをしているのかというと、子供の綺麗な純粋な目を探しています。しかし、よい子はみんな夜になると目を閉じて寝ますので、なかなか綺麗な目を見つけることができないのです。

 鬼六は子供の目が大好きですから、目を開けている子供の目を見つけるとそれをじっと見ます。鬼六と目が合ってしまった子供は、純粋なキラキラした目がすぐにどんよりした寝不足の目になってしまいます。また、あまりにも綺麗な目を見つけた時には思わず食べてしまうこともあります。


 太郎くんは、夢の中でそんな鬼六を見ていました。


 『怖いな〜、鬼六に目をみられたらイヤだな〜』


 そんなことを考えていると、太郎くんの大好きなウルトラマンがやってきました。

 『太郎くん、何を考えているんだい?』

 ウルトラマンは太郎くんに訪ねました。

 『鬼六、怖いね〜。』『鬼六がきたらウルトラマンが戦ってくれる?』

 と太郎くんは言いました。


 すると、ウルトラマンは首を横に振りながら、やさしく太郎くんに言いました。

 『ウルトラマンはよい子のために悪い怪獣と戦うから、鬼六は悪い怪獣じゃないので、戦えないんだよ。』『もしも太郎くんのところに鬼六がやってきたら、じっと目をつぶって鬼六に目を見つけられないようにすれば大丈夫だよ。』


 そういってウルトラマンはウルトラの星へ帰っていきました。


 これが、太郎くんがお昼間に見た夢のお話です。



 太郎くんはそんな夢を思い出しながら、じっと夜の月明かりを見ていました。

 太郎くんの綺麗な目が月明かりにあたってキラキラしています。


 太郎くんが眠れないまま、しばらく目を開けていると・・・



 『ひた〜 ひた〜 ひた〜』

 『ど〜こかに、子供の綺麗な眼は落ちていないかな〜。』


・・とう音が聞こえてきました。


 『ひた〜 ひた〜 ひた〜』

 『ど〜こかに、子供の綺麗な眼は落ちていないかな〜。』


 『あっ、目玉の鬼六の声だ!』

 太郎くんは息をのみました。


 『ひた〜 ひた〜 ひた〜』

 段々と、その足音は近づいてきます。

 『ひた〜 ひた〜 ひた〜』

 そのとき、太郎くんはお昼間に見た夢を思い出しました。

 そうです。鬼六に目を見られないように、じっと閉じていればきっと大丈夫なはずです。


 太郎くんは布団の中で一生懸命に目を閉じました。


 『鬼六に目を見られてなるものか!』

 そう思って、とにかく目を閉じました。

 ・・・・・・太郎くんが目を閉じていると、次第に眠気がやってきて、そのまま太郎くんは寝てしまいました。


 朝になり、お母さんが太郎くんを起こします。


 『太郎ちゃん、朝よ〜、そろそろ起きなさい〜』

 やさしいお母さんの声が聞こえます。


 フッと目を開けると、いつものやさしいお母さんの顔がハッキリと見えました。


 そうです。太郎くんは『目玉の鬼六』に見つかることなく朝を迎えたのでした。


 おしまい。

T&Y BISCUITS